■土地家屋調査士(とちかおくちょうさし)
解説
土地家屋調査士とは、土地や建物の位置や形状、面積などを調査し、それらの情報を基に不動産の表示に関する登記手続きを行う専門職です。土地家屋調査士は、不動産登記法に基づいて業務を行い、土地や建物の所有者が正確な権利を主張できるようサポートします。不動産の境界確定や測量、建物の新築・増築時の登記申請などに関与します。
■ 土地家屋調査士の主な業務
土地家屋調査士が行う業務は、不動産の表示に関する登記手続きが中心ですが、具体的には以下の内容が含まれます。
1. 土地に関する業務
地積測量
土地の面積や形状を正確に測量し、地積測量図を作成します。
境界確定
隣接地の所有者と協議し、土地の境界を明確にします。
分筆・合筆登記
土地を分割したり、複数の土地を統合したりする際の登記申請を代行します。
2. 建物に関する業務
建物表題登記
新築された建物を登記簿に登録する手続き。
建物の変更登記
増改築などで建物の形状や面積が変更された場合の登記申請。
建物滅失登記
建物が取り壊された際に、登記簿から登録を抹消する手続き。
3. 調査・測量
現地での測量を行い、不動産の正確な位置や形状を確認します。
4. 書類作成と提出
不動産登記に必要な書類を作成し、法務局に提出します。
■ 土地家屋調査士が関与する場面
土地家屋調査士は、不動産の所有者や利用者が以下のような場面で依頼することが一般的です。
新築・増築時 新築された建物や増改築した建物を登記簿に反映するための手続き。
土地の売買・相続時 境界確定や地積測量が必要になる場面。
隣地との境界トラブル 境界を明確にするための協議や測量。
土地の分筆や合筆 土地を分割して売却する場合や複数の土地を一つにまとめる場合。
土地や建物の再開発 再開発や大規模な建築計画を進める際の測量と登記。
■ 土地家屋調査士の資格
土地家屋調査士は、国家資格を取得した専門家です。資格を取得するには、以下の手順を経る必要があります。
試験合格 土地家屋調査士試験は、筆記試験と口述試験で構成されます。筆記試験では不動産登記法や測量法、民法などの知識が問われます。
登録 試験に合格した後、土地家屋調査士名簿に登録することで業務を行うことができます。
業務開始 登録完了後、独立開業するか、土地家屋調査士事務所に所属して業務を開始します。
■ 土地家屋調査士に依頼するメリット
専門的な知識と技術 法律や測量技術に精通しているため、正確で適法な手続きが可能です。
境界トラブルの解消 境界確定業務において、第三者的な立場から調査と調整を行います。
登記手続きの効率化 登記に必要な書類作成や申請手続きをスムーズに進められます。
法的な信頼性の確保 土地や建物の情報を正確に登記することで、所有権の保護や不動産取引の安全性を確保します。
■ 土地家屋調査士に依頼する際の注意点
費用の確認 測量や登記の内容によって費用が異なるため、事前に見積もりを依頼することが重要です。
業務範囲の確認 土地家屋調査士が扱う業務は「表示に関する登記」に限定されています。所有権移転登記などは司法書士が担当します。
事前相談 境界確定や測量は隣地所有者との協議が必要な場合があるため、早めに相談することをおすすめします。
■ 土地家屋調査士の重要性
土地家屋調査士は、不動産の権利を明確にし、トラブルを防止するために重要な役割を担っています。正確な測量や適法な登記手続きは、不動産取引や所有権の保護において欠かせません。不動産に関する複雑な手続きやトラブルを抱えた場合は、土地家屋調査士に相談することで、スムーズに解決を図ることができます。