■合筆(ごうひつ・がっぴつ)
解説
合筆(ごうひつ・がっぴつ)とは、隣接する複数の土地を一つにまとめて、単一の地番として登記する手続きのことを指します。土地を一体的に利用したい場合や管理の効率化を図りたい場合に行われます。合筆を行うことで、複数の土地が統合され、一筆(ひとふで)の土地として扱われるようになります。
■定義
合筆とは、不動産登記法に基づき、隣接する複数の土地を一つに統合し、地番を一つにまとめる手続きのことを指します。合筆後は一筆の土地として登記され、土地の管理が簡略化されるとともに、一体的な利用が可能となります。
■目的
合筆は、以下のような目的で行われます。
土地の一体的な利用:複数の土地を一つにまとめることで、建築や開発計画をスムーズに進めることができます。
不動産取引の簡略化:売買や担保設定を行う際に、一筆の土地として取り扱えるため、手続きが簡略化されます。
土地管理の効率化:地番や登記簿を一つにまとめることで、固定資産税の計算や管理が効率的になります。
土地利用計画の変更:合筆を通じて、土地の利用目的を明確化し、合理的な土地利用を図ることができます。
■条件
合筆を行うには、以下の条件を満たす必要があります。
隣接していること:合筆する土地は物理的に隣接している必要があります。
所有者が同一:合筆する土地の所有者が同一であることが求められます。所有者が異なる場合、事前に所有権の統一が必要です。
地目が一致していること:合筆する土地の地目(例:宅地、田、山林など)が一致している必要があります。異なる地目の場合、地目変更登記を行った後に合筆手続きを進めます。
抵当権などの権利がないこと:合筆する土地に設定された権利(抵当権など)が異なる場合、これらを解消または統一する必要があります。
■手続き
合筆を行う際には、以下の手順を進めます。
現地確認:土地の現況や境界を確認し、合筆の可否を判断します。
測量:必要に応じて土地家屋調査士や測量士が測量を行い、土地の形状や境界を正確に把握します。
書類の準備:合筆登記申請に必要な書類を用意します(必要書類については後述)。
法務局への申請:法務局に合筆登記を申請します。申請が受理されると、複数の土地が一筆の土地として登記されます。
登記完了:新たな地番が付与され、合筆された土地が登記簿に登録されます。
■必要書類
合筆登記の際には、以下の書類が必要です。
合筆登記申請書
登記事項証明書(土地の登記簿謄本)
地積測量図(必要に応じて)
土地所有権を証明する書類(権利証や登記識別情報)
委任状(代理人が手続きを行う場合)
■注意点
合筆を行う際には、以下の点に注意が必要です。
条件の確認:地目や所有者が一致していない場合、事前に統一の手続きが必要です。
費用負担:測量費用や登記手続きの費用が発生します。事前に見積もりを依頼し、適切に計画しましょう。
分筆の困難さ:合筆した土地を再度分筆する場合、測量や新たな手続きが必要となるため、慎重に判断する必要があります。
権利関係の整理:合筆する土地に抵当権や地役権が設定されている場合、それらの権利を解消または統一する必要があります。
■合筆のメリット
合筆を行うことで、以下のメリットがあります。
土地の利用計画が明確になる。
不動産取引が簡略化される。
固定資産税の計算が効率化される。
土地管理が容易になる。
■合筆の重要性
合筆は、土地を一体的に管理・利用するための重要な手続きです。特に、複数の土地を活用して建築や開発を行う場合には、合筆を通じて土地利用の効率化を図ることができます。また、土地の価値向上や不動産取引の円滑化にも寄与し、所有者にとって重要な選択肢となります。