■フラット35S(ふらっと35S)
解説
フラット35Sとは、フラット35の“質の高い住宅”取得者を対象に、借入金利を一定期間引き下げる優遇制度です。
住宅金融支援機構および取扱金融機関が提供しています。
【主な特徴】
フラット35と同じく「全期間固定金利型住宅ローン」の仕組みをベースにしており、一度契約した金利が返済期間中変わらない安心感があります。
フラット35Sでは、住宅が「省エネルギー性」「耐震性」「バリアフリー性」「耐久性・可変性」のいずれかあるいは複数の高性能基準を満たす場合に、所定の金利優遇を受けることが可能です。
金利引下げのプランは主に3種類(ZEH/金利Aプラン/金利Bプラン)で構成され、住宅性能基準によって適用される金利引き下げ幅が異なります。
【金利優遇の内容】
ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)など最上位水準の住宅を取得した場合、当初5年間の金利が 年▲0.75% 引き下げられるプランなどがあります。
金利Aプランでは当初5年間 年▲0.50% の引き下げ、金利Bプランでは当初5年間 年▲0.25% の引き下げというのが一般的です。
なお、この制度の適用には予算枠があり、枠に達すると申込受付が終了される可能性があります。
【利用条件・適用住宅の基準】
フラット35Sの利用には、フラット35の基準に加えて、住宅が上記の高性能基準を満たしていることを証明するための「適合証明書」などが必要です。
新築住宅および一定の条件を満たす中古住宅の購入・建築が対象となります。借換え目的には原則利用できません。
住宅の性能基準は、住宅の種類(新築/中古)、戸建て/マンションなどによっても適用要件が異なります。
【メリット・留意点】
■メリット
返済当初の金利が引き下げられるため、毎月返済額・総返済額を軽減しやすくなります。
高性能住宅を取得することによる住宅そのものの価値・ランニングコスト軽減(冷暖房費・修繕費・保険料等)との相乗効果も期待できます。
■留意点
優遇を受けるための住宅性能要件が通常のフラット35より厳しく設定されており、取得住宅選定の段階から条件を満たす必要があります。
引き下げが適用されるのは「当初の一定期間(主に5年間)」であり、その後は通常の金利水準に戻るため、期間終了後の返済額想定も必要です。
申込時点で制度予算が枠に達している可能性があるため、早めの申請準備が望まれます。
【まとめ】
フラット35Sは、長期固定金利のメリットを持つフラット35に、住宅性能に応じた金利優遇を組み合わせた制度です。高性能住宅を対象とするため、コストはやや高めになったり条件が厳しかったりしますが、返済負担軽減や住宅の将来価値向上という観点から検討価値の高い選択肢となります。
住宅購入・建築を検討する際には、対象住宅が制度適用基準を満たしているか、そしてその優遇がライフプランにどれほど寄与するかを慎重に確認することが重要です。