■決済立会い(けっさいたちあい)
解説
不動産売買において、「決済」とは買主が売主に残代金を支払い、同時に物件の鍵の引渡しや所有権移転登記の手続きが進む重要な場面です。
「決済立会い」とは、売主・買主、仲介不動産会社、融資先銀行(ローン利用時)、そして司法書士が一同に集まり、その場で書類の確認・代金の支払い・登記の委任などを進める手続きのことを指します。
【決済立会いの特徴】
決済立会いの場では、司法書士が「人・物・意思」の確認を行います。つまり、売主と買主が本当にその物件の取引を行う意思があるか、物件の権利証・登記済証・印鑑証明などの書類が揃っているか、売買代金の支払いが正しく行われるかを確認します。
決済時には、ローンがある場合は融資実行、残代金の支払い、鍵の引渡し、登記申請の手続き開始など複数の作業が同時に進行することが多いです。
近年では「立会いなし」の決済(売主・買主が同席しない形)も増えており、代理人や書類だけで進めるケースもあります。
【なぜ立会いが重要?】
高額な取引であるため、売主が代金を確実に受け取り、買主が確実に所有権を受け取るという「同時履行」の安全性を高めるためです。
登記申請の前提となる書類(権利証、印鑑証明、住民票など)に不備がないか、その場で確認できることで、取引後のトラブルを減らせます。
売主・買主双方が同席することで、意思の確認・書類の説明・金銭の流れの透明性が確保されます。
【流れの概要】
①決済当日、売主・買主・仲介業者・司法書士・銀行担当者(ローン利用時)などが指定場所(銀行・司法書士事務所・不動産会社など)に集まります。
②司法書士が売主・買主の本人確認、書類の確認、意思表示の確認を行います。
③ローン利用の場合、融資実行が行われ、買主の口座に融資金が入金されます。
④買主が売主へ残代金を支払い(振込・現金等)、その後売主が鍵や必要書類を買主に引き渡します。
⑤その後、司法書士が登記申請(所有権移転、抵当権抹消・設定など)を行います。
【注意点・ポイント】
決済立会いを「必ず顔を合わせてしなければならない」わけではありません。代理人が委任状を持って代行するケースも認められています。
決済当日の立会時間が長くなる可能性があります。特に抵当権の抹消や複数の融資・入金の確認があると、数十分~1時間以上かかることもあります。
売主・買主ともに、印鑑証明・住民票・権利証(登記済証/登記識別情報)・委任状(代理人が出席する場合)など必要書類を事前に確認・準備しておくことが大切です。
【まとめ】
決済立会いは、不動産売買取引における「完結の瞬間」とも言えます。売主・買主・関係者の一堂に会することで、安全・確実に所有権の移転や代金の受渡し、登記手続きが進められる場です。顔を合わすことで安心感が大きいですが、代理対応や立会なしも増えているので、どちらがいいかは取引の内容・条件・双方の事情を踏まえて選択しましょう。