■付帯設備表(ふたいせつびひょう)
解説
付帯設備表とは、売買対象となる不動産(建物・土地付き住宅など)に付いている設備・家具・附属物について、【有無】と【故障・不具合の有無】、そして「売主が残すか撤去するか」の内容を明示する書類です。
たとえば「キッチンの食洗器を残す」「浴室換気乾燥機は故障中」「エアコンは撤去予定」など、買主と売主があとで「え?違ったの?」とならないよう、契約前に共通認識を作るためのもの。
【付帯設備表の特徴】
書式が法律で厳密に決まっているわけではありませんが、多くの不動産会社・団体が「売主が記入し、買主に交付する」という流れで使われています。
主に「設備の有無」「故障・不具合の有無」「残置または撤去の明記」などを記載。
売買契約の付属書類として、物件・設備の状態に関して後から争いが起こるリスクを減らす役割があります。
中古物件の売買では特に重要で、設備の経年劣化や機能低下も記載対象となるケースが多いです。
【記載される内容(主な項目)】
付帯設備表には次のような設備・附属物が記載されることが多いです。
■主要設備例
・給湯設備(給湯器、湯沸し器、太陽熱温水器など)
・水回り設備(キッチン設備・浴室設備・洗面設備・トイレ設備など)
・空調・換気設備(エアコン、床暖房、24時間換気システムなど)
■その他設備例
・照明器具(屋内・屋外)
・収納設備(床下収納、吊戸棚、下駄箱など)
・建具・網戸・雨戸・シャッターなど
・テレビ視聴用アンテナ、カーテンレール、物置、カーポート、庭木・庭石など
また、「特定保守製品」(例:石油給湯器など法令上特定の保守義務がある設備)に関する記載が必要なこともあります。
【 付帯設備表を作成・交付するタイミング・誰が?】
売主が、物件を媒介・売却に出す際、不動産会社の仲介を利用するケースが多く、その際に「付帯設備表」の記入を依頼されることが一般的です。
売買契約を締結する際には、買主に「この設備をこういう状態で引き渡します」という説明を兼ねて交付されるものです。
記入内容を作成する際には、設備の動作・状態を実際に確認し、記載に漏れ・誤りがないようチェックすべきです。
【 なぜ重要?】
・付帯設備表が重要な理由は、買主が「どの設備が残るか、どれが使えるか、状態はどうか」を契約前に把握できることで、安心して購入判断ができる。
・売主・買主の間で「言った/聞いてない」「あった/なかった」の認識のズレが原因で起こるトラブルを防止できる。
・引渡し後、契約と異なる設備状況があった場合、売主が補償責任を問われる可能性があるため、売主にとってもリスク軽減になる。
【注意すべきポイント】
設備を「有」と記載しておいて、実際には撤去されていたり動作不能ということになると、買主から補償を請求されることがあります。
記載時には設備の「故障・不具合」欄に具体的な内容を記すことで、引渡し後のトラブルを防げます。
中古物件では「経年劣化による使用状況の変化」があるため、注意書きとして「経年変化および使用にともなう性能低下、キズ、汚れ等があります」などを入れると良いです。
売主と買主で設備の残置・撤去について合意が取れているか、その旨を契約書や付帯設備表に明記しておくことが望ましいです。
【まとめ】
付帯設備表は、不動産取引において“設備がどうなっているか”“何が残るか”“故障や不具合はあるか”を明らかにし、売主と買主の認識をあわせるための大切な書類です。
売却・購入どちらの立場でも、記載の内容をしっかり確認し、疑問があれば質問しておきましょう。