■重要事項説明(重説)(じゅうようじこうせつめいしょ(じゅうせつ))
解説
重要事項説明とは、不動産の売買や賃貸借契約を締結する前に、物件や契約条件など“取引において知っておくべき大切な事項”を、資格を持つ専門家(宅地建物取引士)が買主・借主に対して書面を交付しつつ口頭で説明する制度のことです。
この制度は、一般の人が不動産取引における権利関係・法令上の制限・契約条件などをあらかじめ理解し、自分の判断で契約に進めるようにするために設けられています。
【 説明が行われるタイミングと誰が?】
説明を行うのは、宅地建物取引業者に所属する取引士でなければなりません。
説明を受ける対象は、買主・借主であり、売主・貸主には説明義務が法律上はありません。
説明の時期は、売買契約/賃貸借契約が成立するまでの間に行わなければなりません。
契約締結の直前でも構いませんが、契約の後ではなく、原則“その前”です。
【説明内容(主な項目)】
説明される内容には多くの項目がありますが、大きく以下の2つに分けられます。
①取引対象不動産に関する事項
例:所在地・構造・面積・所有権・登記されている内容・法令上の制限(用途地域、建ぺい率・容積率・斜線制限等)・接道状況・インフラ整備状況・災害リスク(液状化、浸水)など。
②取引条件に関する事項
例:売買代金/賃料・手付金・敷金・契約解除や違約金の定め・ローンが成立しない場合の扱い・引渡し時期・管理費・修繕積立金(マンションの場合)など。
このほか、取引に関連して買主・借主の判断に影響を与えると思われる事項は、法律で定められたもの以外でも「重要事項」として説明対象になります。
【なぜ重要?】
この制度がある理由は、不動産は金額が大きく、かつ複雑な権利・法令制限が付きまとう財産で、一般消費者が十分知識を持たずに取引をすると、後で「知らなかった!」という事態が起こり得ます。そのため、契約前に“知るべき重要な事項”を説明して、安心して契約判断できるようにするためです。また、不動産業者側にとっても、説明義務を果たすことでトラブル防止・説明責任の明確化につながります。
【説明を受ける側(買主・借主)のチェックポイント】
・書面を事前に目を通す:説明当日に全部聞くのではなく、できれば事前に書面(「重要事項説明書」)をもらっておいて自分で確認しておくと安心。
・不明点は質問する:説明の中で、理解できない用語や条件があれば、遠慮せず“なぜこうなのか”“将来どんな影響があるのか”を聞きましょう。説明義務者側は買主に理解させる義務があります。
・契約条件との整合性を確認:説明された内容と、契約書の内容、物件の現況・事実が一致しているかを確認。例えば、法令制限や道路に関する説明が現地と異なっていないか。
・契約成立前に説明が終わっているか:もし契約書への署名・押印前に説明がなされていない、あるいは書面交付されていないなら、手続きを止めて確認が必要です。
【まとめ】
重要事項説明は、大きな不動産取引をする前に、物件と契約内容を理解し納得して進めるための“安全なチェックポイント”とも言えます。
契約に進む前に、説明をきちんと理解し、自分の疑問をクリアにして、“安心して契約できる状態”をつくることが最も重要です。